最近、よく行くようになった新規開店したスーパーのレジ、そこにデブな目立つ女性がいます。

 そこそこ若い、30ぐらいでしょうか。

 ふっくらした顔立ち。ショートカットでさっぱりしています。


 俺はいつもチューハイと豆腐なんかを買うぐらいであまり余計なものは買いません。

 その店はただ酒が安いからよく行くようになっただけで、俺の買い物は地味。

 だから俺が目立っているわけでもないはずです。

 ダラしない格好はして行かないけど、特に目立つ客でもない。


 で、繁盛している店だからいつもレジは混んでいる。いつも長蛇の列。

 そこだけが困る。





 通ってるうち、だんだんとこのデブな女性はレジが手慣れているというのが分かった。

 テキパキとして早い。

 レジがあっという間に掃けてゆくから、俺はこの女性のレジに意識して並ぶようになりました。

 長蛇の列でも早く会計ができる。


 よくこの人のレジを使うようになって、ある日のことだんだんと顔を覚えられたのか、この人、俺に挨拶をしてきた。

 「いつも、いつもありがとうございます。」

 なんて言ってニッコリとした。 

 俺はキョトンとしてしまった。




 別な日、やはり会計をこの女性のところでしたら、

 「はーいwww、例によって、889円になります。」なんてにこやかに言った。

 「例によって」?www。 ああ、確かにいつもそんな値段だ。


 なんだか朗らか。彼女は軽口を言うのが上手だ。

 気持ちがいいぐらい性格がさっぱりしているのが分かる。

 デブっていうのはこういう気がいいところがある。


 こちらが疲れないしムカつかない。

 陽気なデブというのは悪くない。





 この人、巨体を揺らしてレジを切り盛りしている。

 閉店間際には他のレジの子に指示を飛ばしているからベテランでもあるんだろう、店から頼りにされてる感じ。


 しかし、ちょっとサッカー台から彼女を盗み見るとやはりデブだ。俺はデブな女性はタイプではない。


 背中の盛り上がった肉は強烈。筋肉質の相撲取りという感じ。もちろん俺よりカラダはでかい。

 腹はそんなに出ていないが俺の印象はやはりデブだ。

 上半身デブだ。

 爆乳でもない。

 ただ胸の辺りには相撲取りのように肉がついてる。それでなんだか胸が大きく見える。首回りもゴツい。

 そして尻がでかい。なんとも巨大だ。


 ゆさゆさと揺れている。しかし軽やかに揺れている。テキパキと揺れているww。

 陽気できさく、そんなデブは可愛らしいとさえ思える。こちらに懐いてくれたりすると可愛らしいと思ってしまう。




 あれ?
 
 なんだか、見るのに慣れてしまうと錯覚してくる。

 こういうのも悪くないのかななんて、思ってしまう自分に気付いた。

 イケるんじゃないか、なんて。 ヤバい、ヤバい(笑)。


 慣れというのはやはりある。

 知らない土地に行って暮らしているとそこにすっかり慣れてしまう。そこの女性がいいと思ってしまう。

 アジアンの女性がいいなんて思ってしまう。

 魔女みたいなデカイ鼻、そんな西洋の女性を美しいと感じてしまう。


 帰ってくれば目が覚める。そしたらなんでもなかったことに気付く。なんであれがいいなんて思ってたんだろう、なんて。

 そして写真を見返すのも嫌になったりするぐらいの黒歴史。






 ・・・分かる。こういうのにやられるんだ。男はww。 

 誰だって付き合うなら気持ちがいいのがいい、それはそうかも知れない。そうして惚れればキレイに見えてくる。

 要するに誰でもいいというのが男の本質だ。

 だがそれは俺は嫌だ。自分の基準で見てキレイに思えないと損した気がする。 

 まだ女性を知らない頃から、恋焦がれたそんな女性のタイプでないと嫌だ。

 気持ちが通じ合って馴れ合って、次第にこちらの審美眼が狂ってしまうのは怖い。

 自分を見失うようで怖いのだ。





 まあ、恋愛なんて夢見ているようなものだ。

 オンナはこと恋愛では審美眼というのとは違うものを見ているのだと思う。

 だから、最初は仲良くしていても気持ちが通じ合っていても、一度キレればオンナはとたんにオトコを嫌うようになる。

 何年付き合ってようが関係ない。それこそ蛇蝎のように嫌い始める。

 熟年離婚なんてそんな話だ。

 それがオンナというものだ。夢から醒めればゴミ扱い。


 だったら尚更だ。俺は男として自分のタイプの女性と付き合いたい。

 性格とか人当たりとか雰囲気なんか、そんなのはまるで関係ないところがいい。

 自分が美しいと思えないオンナでは損だと俺は思う。

 夢なんかじゃないところで女性を見ていたいのだ。もちろん美醜の基準なんて人それそぞれではあるが。



 もちろん、嫁は俺をカッコイイなんて決して言わない。