「外国人の彼女なんか作っちゃってサ・・・」
嫁が言ったたのは初めてだ。
知らないのかと思っていた。
それとも知らぬうちに連絡でもあったのだろうか。
もう遠い話だ。
暫く外へ出かけて留守にしていた時の話だ。
浮気なんてものではない。
いつもそうだ。
女と見れば見境がないわけではない。俺は真剣な人間だ。
踊っても、飲んでも、俺はいつも真剣にやってきた。
だから楽しいと聞かれればそういうわけではない。享楽の愉悦に酔うことなどない。
ただ何かを追求すべきだ。そう思うのだ。
そうして俺はやってきた。
だから嫁も「浮気」とは言わなかったのだろう。
酔ってカラんで、さんざん暴れて、ベソをかいたらチラりと漏らした。
ドキりとしたが黙っていた。
嫁はそれ以上は言わなかった。
今はお前と二人だろうに。
いつもいつも、常に一緒にいるだろうが。
俺の歯は折れたままだ。 もう怒ってはいない。
またニコニコ笑うことだろう。大事にしているのにこのざまだ。それこそ笑う。
またすっかり忘れてしまい、嫁が同じことを繰り返さないようにはどうするか。
反省文でも書かせるか。